つけっぱなしのテレビから「日本語教師…」という声がきこえたので、
思わず手を止めて見てしまいました。
「売れないお笑い芸人からカリスマ日本語教師への逆転人生」・・・
NHKの番組をご覧になった方もおられると思いますが、笈川幸司さんは20年程前 芸人の道をあきらめ、当時婚約者だった中国人の彼女のいた北京に渡ったものの振られてしまい、心も生活も挫折してしまったところに 短大の日本語教師の職を紹介されたそうです。食べていくために、それまで全く経験のなかった日本語教師の道に飛び込み、それでいったいどうやったのかというと、それまで培ったお笑い芸人の技を 逆に授業に取り入れ、熱意と工夫で生徒達の注目を集め、ひいては名門精華大学や北京大学の講師としても招かれるに至りました。
スピーチコンテストでは入賞者を続々と出し、中国で日本語を学ぶ人なら知らない人はいないという程の人気日本語教師になられたといいいます。
日本語教師になってからも(2012年)尖閣諸島国有化問題から、中国で激しい反日運動が起こり、日本語を教える側も日本語を学ぼうとする人たちにも苦難の時期があったようです。
しかし笈川さんの情熱と、そんな時も応援し支えてくれた中国人の日本語教師や たくさんの生徒達がいました。教え子の中にはその後メディアに就職したり 地方の公務員となって日本の企業を誘致するなど、日本との懸け橋へと成長し、現在のインタビューも合せてなかなか感動的でした。
やむなく日本語教師の職に就いた笈川さんですが、それまで日本語教師の経験はなかったといいますから、すごい度胸?覚悟?と努力があったに違いありません。
番組のイメージ映像では、生徒さん達は 初級というよりは少し話せる実践クラスの様でしたが、しっかり声を出しイントネーションに留意する学習や、楽しそうな授業風景は笈川さんならではのユニークさで、集中力と学習意欲を盛り上げているのが分りました。
例えば 生徒達の日本語を学ぼうと思ったきっかけは 日本の文化やアニメであることが多いので、シチュエーション学習を取り入れ キャラクターになりきっての発話練習。
「朗読」や「アフレコ」のコンテスト開催。 まんがをそろえ自宅を解放し、生徒や
日本人留学生との交流の場所をつくったり。
全体を通して 日本語が話せる・自信がつく そんな授業を目指しておられるような
気がしました。
ぐるりっとでもウルトラマンやナルトが好きな生徒がいましたし、興味を引く教材を選ぶという点では同じだなと思いました。時勢に合わせた教え方を検討してゆくことは大切です。
また生徒の能力にあった教材をと思いがちですが、少し難しくても暗記させてしまう(暗記するくらい繰り返す)のもチャレンジさせるやり方の一つと思えました。
ただ大きく違うと感じたのは、ぐるりっとの生徒達は子供で、自分の意志で
日本に来たり、日本語学習を始めたのではないということ。
私達は、彼らが日本を好きになってくれるかどうかというところから始めなくてはなりません。日本語を教えることによって学校生活に馴染み、友達がいっぱい出来るよう、支援するのが私達の仕事です。
今はなかなか言う事聞いてくれない子供達。ちょっとした文型を定着させるのも大変です。
日本に永住する子達も多いです。さぁて将来日本からの一本橋となってくれるでしょうか、
楽しみです。
[ET]