私は心底食いしん坊なのに違いありません。
食べることやお料理するのが好きなのはもちろん、お料理の本やエッセイを読むこと、お料理や食事風景を想像するのも大好きです。
お料理に関する言葉にも興味があり、他の言語とのちょっとした違いや言い回しなども気になります。
暮れからお正月にかけて特に出番が多くなる干し椎茸。
黒々としっかりとしたかさの干し椎茸、柔らかくなった時の滋味は何とも言えません。
皆さんは、干し椎茸には「戻す」という言葉を使うことが多いでしょうか。
実家では「うるかす」と言っていました。「椎茸うるかしといて」と言う
曾祖母や祖母、母の声が聞こえてきそうです。
若い頃お料理教室で「うるかす」と言ったところ、周りの人に怪訝そうな顔をされ恥ずかしい思いをしたことがありました。
我が家では普通に使っている言葉なのにどうして?方言なのかしら。
何年かして山形出身の女優渡辺えりさんが「うるかす」を使っているのを聞き、曾祖母は福島出身なので東北から来た言葉なのだと腑に落ち、すっきりした気持ちになりました。
その後調べてみると載っている辞書もありましたし、漢字は「潤かす」
口に出すと音は柔らかく、しみじみとした感があります。
水に漬けるのではなく浸すのとも違う、ゆっくり水を含んでいく感じ。
書いているうちに、椎茸をうるかしたくなって来ました。
何に使おうか考えるのも楽しいひと時です。
やっぱり、私は根っからの食いしんぼうなんだと呆れながら。
(I.N)