子ども教室で担当しているTくんは4月から小学1年生、好奇心旺盛な男の子です。
ひらがな50音表は縦横にスラスラ読めるようになったのですが、椅子にじっと座って一つ一つの文字を読んだり、書いたりするのが苦手です。
なんとか興味を持って覚えてくれないかと、図書館で借りてきた絵本が白秋の詩「五十音」です。白秋の詩だけでは子供には難しいのですが、絵本作家の高畠純氏が動物(🐐 🐒,🦍、🐶、🐈、🐌等)を詩の内容に合うように描いてくださっているので、楽しめる絵本です。
北原白秋が子供のひらがな学習のためにこの詩を書き、各音を歌いながら子供に覚えてもらうための物で、教科書にも載っていたことがあるそうです。
北原白秋100選の中で童謡研究者の上田氏が「音の本質である<色声香味触>を50音の各行にわたって歌いながら味得させようしていて、まず自分自身の感覚を企てた唄であり、ちなみに「色声香味触」とは色:見た目、声:音、香:におい、味:あじわい、触:触覚」と言っています。
アナウンサーや劇団員の方々が滑舌を良くするための発声練習にも「五十音」が使われているようです。「五十音の詩」は大正11年アルスより刊行された童謡集「祭りの笛」に所収、「五十音」はそれを2020年に現代かなづかいに直した絵本です。
あめんぼ あかいな あいうえおから始まりますが、Tくんがお気に入りのところは
かきのき くりのき かきくけこ
(お猿さんが柿の木、栗の木の下で食べている)
やきぐり ゆでぐり やいゆえよ
(お父さんやぎがやきぐり、お母さんやぎがゆでぐりを作り、子供のやぎたちが囲んでいる)
一生懸命読んでくれますが、外国人の彼には少し難しかったかな?
現在「五十音」は 「あめんぼのうた」「あいうえお」「白秋五十音」として出版、販売されているだけでなく、滑舌を良くするための発声練習にも人気があり スマホでもできます。私も昨日やってみました。
あめんぼ あかいな あいうえお。 うきもに こえびも およいでる。
かきのき くりのき かきくけこ。 きつつき こつこつ かれけやき。
ささげに すをかけ さしすせそ。 そのうお あさせで さしました。
たちましょ らっぱで たちつてと。 トテトテ タッタと とびたった。
なめくじ のろのろ なにぬねの。 なんどに ぬめって なにねばる。
はとぽっぽ ほろほろ はひふへほ。 ひなたの おへやにゃ ふえをふく。
まいまい ねじまき まみむめも。 うめのみ おちても みもしまい。
やきぐり ゆでぐり やいゆえよ。 やまたに ひのつく よいのいえ。
らいちょうは さむかろ らりるれろ。れんげが さいたら るりのとり。
わいわい わっしょい わいうえお。 うえきや いどがえ おまつりだ。
大正時代から子供たちに五十音を覚えてもらうために、いろいろ工夫していたのですね。
私の発声練習にはなりましたが、T君には難しかったようで、まだ覚えてくれません。
ひらがな練習帳で頑張って覚えようね、Tくん。
(k・s)