世界の先進地域では高齢化が進んでおり、同様に日本でも進んでいる。現役世代の若者が減少しており、働く若者が高齢の人達を支える年金制度の見直しが必要だと言われてから久しい。人口減少も歯止めがかかっていない。
私は日本語教師の経験から、人口減少対策として期待されるのは日本で働く外国の人達だと思う。私は以前から多文化共生に興味があり、先日外国人活躍支援の講座(外国人雇用協議会)を聴講した。講座では日本に来る外国人は、「人的資本蓄積(働く人の知識、技術等)がありスキルの獲得、将来のキャリア向上が期待できる」「安全である」ため、日本を選んでいる人が多いとのことだ。
しかし、現在の日本は働こうと考えている外国人にとって魅力がある国だろうか。製品や文化は高い評価を得ているようだが、経済成長や賃金上昇等の経済的裏付けがあって魅力が生きてくる。日本が世界の中で存在感を示し、特に若い人達が能力を発揮できるようにするためには、日本が発展し、若者達の教育環境作りと雇用環境の改善が大切だと思う。
更に世界ではアジアの優秀な人材が争奪戦になっているとの報告があった。その中で話題になったのは、ダイバーシティ(人種、宗教、文化的な違い、性的な違いを乗り超えて、多様性を生かす取り組み)についての報告があった。新しいものは異質なものとの相互作用により生まれてくるという考え方だ。国や組織が発展するには、新しいものを作り出す開発力・創造力、組織の活性化が大切だというのだ。外国からの人達を、共に働く社会の一員として認め、その人の能力を評価し、活躍の場を提供し、協力して新しい社会を作ることが求められている。日本の企業も現実にその方向で動いているとのことである。
それでは、私自身は何が出来るのだろうか。私は、当会入会の前からつながりがあった中国人の小学6年生の男の子にオンラインで日本語を教えている。教え始めてから約3年になる。子供の一年一年の成長はとても大きく、早い。小学6年生になると、自分でテーマを選んで、自分の意見を話すようになる。先日、彼が選んだNHKの教育番組を一緒に見た。番組では、どうして国と国が争うのかの理由を説明していた。番組終了後、どうしたら国と国が争わなくなるか質問をしてみた。「国と国が仲良くすること」とのことであり、最後に「友情」とひとこと言った。その言葉から国と国の関係が身近なもの思っており、更に仲良くすることに加えた何か「+α」を感じさせられた。社会で起きていることに対して子供なりの考え、思いがあるのが伝わってきて、新しい発見でもあった。
子供とダイバーシティとはつながらないと思っていたが、小学6年生との経験で認識を改めた。子供は子供なりに考えているのだ。そして、子どもの時に覚えたことは、印象深かったことは大人になってからも覚えている。それだけに、今携わっている外国からの子供達への日本語教育は、語学の勉強に加え、少なからず将来、日本との接点の起点になると思う。子供たち一人ひとりが、「日本に来て良かった」と思い、将来どの国で暮らしても、自分と違う環境で育った人と気持ちを分かりあい、協力して、良くしていく人に育ってほしいと願っている。
(T.M)
2022
28Oct