文型を教える時、わかり易い例文を示すことはとても大切です。どんな場面で、どんなニュアンスで使うのかを感じ取れなければ、言葉を使えるようにはなりません。そのため、テキストにはごく一般的と思われる例文が載っています。
春になると、桜が咲きます。
私は何も疑問を持ちませんでした。強いて言えば「当たり前でしょう」という感じ。なんてわかり易い例文かしら。
しかし、さて。
日本に来て桜は知っていても、まだ実際に見たことがない生徒もいます。桜が春に咲くことを知らない生徒もいるでしょう。春という季節がピンと来ない生徒もいるようです。いつも暑い地域の出身とか、雨季と乾季が交互に訪れる地域の出身とか。
すると、おや、この例文は、問答無用で誰にでもわかるものとは言えない気がしてきます。
夏になると、蝉が鳴きます。
秋になると、木の葉が赤くなります。
冬になると、雪が降ります。
「当たり前でしょう」は通用しませんね。蝉を知らない生徒は何人もいました。紅葉する木がほとんど無い地域はたくさんあります。雪が降らない地域も。
生徒のこれまでの知識や習慣を考えた上で指導しなければいけないなあ、と思います。その上で、これらは日本での「当たり前」であることを伝え、日本の風土を知って馴染んでほしいと思います。
(SI)