新学期が始まりました。
ぐるりっとからも約10名(今日現在、就学の時期が決まらない子もいます)が小・中学校に就学・編入しました。
大田区では、外国につながる子どもが学校に入るまで、日本語の支援と共に保護者や学校・行政とも協力し進めていく体制が整ってきています。
私はそれぞれを仲介する立場で関わることが多いのですが、今回、そんな中でのちょっと変わったエピソードを紹介します。
そもそも学校に入るための日本語支援を担う「おおたこども日本語教室」は二か所に分かれており、もうひとつの方の教室に行くはずだった姉弟のお話です。
二人は定員オーバーで保留状態だったため、まだ数に余裕のある方の教室に通うことになりました。
その際、通訳兼お世話係として入っていたのが不動産屋に勤務する若い女性Cさんでした。
Cさんは、姉弟の保護者からある条件の下に契約を取り付けていました。
「希望する学校の近くに住居を見つけて欲しい」
希望する学校とは、「日本語のできる知り合いの子がいる」「父親が経営するレストランから近い…食事をして帰れるので」というものでした。
Cさんは要望に沿えるような物件を探して紹介し、家族はそこに引っ越しました。
ところが、僅かに学区域から外れ二人は別の学校に行かされることになりました。
Cさんにとっては死活問題、契約不履行で解約されそう…と、初対面の私に一時間以上延々と自身の難局を訴えてきたのでした。
行政の担当者に指定校変更希望と諸事情を(ついでにCさんの死活問題も…関係ないと言われましたが…)説明し、大勢で姉弟と保護者に関わっていることもアピールしてみました。
返事を待っている間、Cさんの不安に便乗して、私もどうなることかと…。
結局、校長判断で指定校の変更が認められました。
水面下で一人の人間がクビか給料減額か倍賞かの死活問題に晒されたものの、結局は目的通り全員がハッピーエンドに終わったのでした。
希望の学校に行けて何事もなかったかのように笑顔の姉弟。
契約上こうなることが当然と思っている保護者と事情を知っている私…このことを話す機会は今後もないでしょう。
Cさんと私の志望校編入支援の裏話(小話)でした。
(pht)