7月初旬の授業で、テキストに掲載されていた夏休みの日記をYさん(小三年中国出身)に音読してもらいました。その一部ですが「昨日花火(はなひ)を見ながらかき氷(こおり)を食べました。」 連濁のことを忘れてしまったようです。
1月中旬、かんじだいすき二で漢字の読みを学習していた時「お父さんからお年玉(としたま)をもらいました」と読み仮名を書いたので、「おとしだま」と読むのよと直しました。彼女が「どうして玉(たま)が(だま)になるの」と納得いかなそうに質問したので、二つの語が結び付いた言葉では後ろの語の最初が濁音に変わることが多いとだけ説明したことを覚えています。
今回は少し詳しく連濁のルールを話しました。
二つの語が結び付いた言葉で、後ろの語の最初が濁音に変わる現象を連濁といい、前記の日記も 花(はな)+火(ひ)→花火(はなび) かき+氷(こおり)→かき氷(かきごおり)と読むと教えました。他にも雨傘(あまがさ)→雨(あめ)+傘(かさ) 焼き豆腐(やきどうふ)→焼き(やき)+豆腐(とうふ)等日常使われている言葉が沢山あることも話しました。
ただし例外もあり、結び付いた後ろの語にすでに濁音が含まれる場合は連濁は起きにくい(「盛りそば」が「盛りぞば」にならないのはそばに濁音があるから)外来語(生クリーム)や並列の複合語(読み書き)も連濁しないことを説明しましたが、日
本語があまりわからない彼女には難しかったようです。
ところで連濁の説明をしていた時、学生時代の京都旅行を思い出しました。お土産屋さんが「塗り箸箱」を二つ見せてくれて読み方が二通りあり、漆が塗ってあるのはどっち?
A「ぬりばしばこ」→塗り箸+箱 B「ぬりはしばこ」→塗り+箸箱 Aは箸、Bは箸箱に漆が塗ってあり、濁点で意味が変わることを教えてくれました。
先日卒業生(高二)のAさんとお茶を飲んだ時、この話(塗り箸箱)をしてみました。
彼女はわかったようで、嬉しそうでした。ついでに民話かちかち山の話をクイズで出しました。その話の中にC「にせだぬきじる」とD「にせたぬきじる」という言葉があるとしますが、にせは何なのか、Aさんの答えはCはたぬきじる、Dはたぬき 残念逆でした。にせものはCは「たぬき」Dは「たぬきじる」です。なぜならCは「にせだぬき」+「じる」Dは「にせ」+「たぬきじる(濁音がある)」という構造で「にせ」は「たぬきじる」全体を修飾していることになるからで、濁点の位置によって意味が変わることを説明すると分かってくれましたが、悔しがっていました。其の後彼女の学校の様子、アルバイトのこと、将来の夢(美容師になる)
等を談笑し、楽しいひと時を過ごすことが出来ました。
(KS)