(ブラッセルからユーロスターでロンドンへ)
ホテルを出て市内トラム駅近くの広場で日曜の蚤の市が開催されていたので、好奇心旺盛な私は荷物を置いて蚤の市に見入ってしまいました。市は始まったばかりで、人も多くなく足早に回っていたところ、真鍮製の可愛いニャンコ像に目が止まり、交渉したが負けてくれず10ユーロで購入しました。私の衝動買いはこんなところかなと思います。
ブラッセル中央駅へは発車時刻1時間半前に余裕をもって到着し、パスポート提示と荷物検査でナイフが引っ掛かったものの無事通過出来、ロンドンまでユーロスターに初めて乗車することが出来ました。発車後、程なく、食事と飲み物(ビールと赤ワイン)のサービスがあり、ゆったりと車窓を眺めながら、2時間の旅を楽しむことが出来ました。
(30年ぶりの大英博物館)
雨の中、10時開場まで20分間大英博物館前の長い入場列の後ろに並びましたが、すぐに私の後ろにも長い列が続き雨脚が強くなる中で傘を持ってきて本当に良かったと一人合点していました。入り口にはドネイションを促す女性がいて2ユーロ寄付しました。
エジプト・ギリシャ館から見学、懐かしいロゼッタストンがありましたが、以前はケースに入っていなかったが、今回はケースの外からの鑑賞となり、見学者も集中して、中々ゆっくりと見られませんでした。エジプト壁画、立像や黄金の仮面等を鑑賞し、ギリシャ館では大きな壺に描かれた人物画や大理石製の立像、胸像の美しさに見入りました。またガラス製の器に描かれたデザイン、陶製の器にも目が奪われました。
アジア館の中の日本館で百済観音像や『わび・さび』を基調とした日本の『集まりの文化』が強調されていました。
(鉄道ストでスケジュール変更、ナショナルギャラリーで絵画鑑賞)
ロンドン・ユーストン駅でグラスゴーまでの指定券を購入しようとしたが明日鉄道スト決行でエジンバラへ変更し、国際駅購入窓口でユーロスター指定席を取ろうと5月10日で依頼したところ、9日~11日まで満席で日にちがあるのは明日の昼便1席のみと知らされ、色々考えた末、エジンバラまでを全てキャンセルして、パリ行を明日に変更しました。グラスゴーまでの指定券はロンドンユーストン駅に戻り、事情を話しキャンセルしてもらいました。
明日のパリ行が決まり、スマホナビを頼りにナショナルギャラリー迄歩いて40分、ギャラリー前はライオン像2頭に大きな円柱と二つの大きな噴水があり、石段に観光客が座ったり、写真を撮ったりしていました。前回、30年前は並ばずに入館できたのに、昨日の大英博物館もそうだったが観光人気の高まりを感じました。
入館してセザンヌ、ドガ、ゴーギャン、ピサロ、ロートレック、ゴッホ、モネ、ルノアール、ピカソ、等の作品が多く展示されているのにまず圧倒されました。ゴッホの作品も5~6点あり、独特の絵のタッチを楽しむことが出来、又ドガの絵は踊り子のイメージが強かったのですが、清楚な少女像に見入ってしまい、ピカソの写実画と抽象画にも素晴らしさを感じました。
(パリへ、そしてルーブル・オルセー美術館鑑賞)
パリへの移動日、ユーロスターはパスポート、荷物チェックがあるので2.5時間前の10時にホテルチェックアウトを済ませ出発し、市内バスで11時過ぎに重厚なレンガ造りのキングスクロス国際鉄道駅に到着しました。
11時45分から改札が始まり、前回ブラッセルの検査より簡単(慣れがあったかも)に終了し、発車13時31分迄ベンチで休憩兼昼飯タイムとなりました。車輛、指定席番号を確認し搭乗し、2時間20分弱の鉄道旅(食事と白ワインサービス)を楽しみました。
翌日、地下鉄を乗り継いでルーブル美術館前に到着、懐かしい中庭のピラミッドの前には長蛇の列、係員は1時間ちょっと待つだろうの回答、列の前の男性から声を掛けられ、色々話すとアルジェリア移民で父の代に渡仏して自分はパリ生まれでカレッジで数学の先生をしていると話してくれました。
30年前に女房と訪れたルーブルは待たずに鑑賞出来ましたが、今回は以前とは違い見学客の多さには驚きました。正面階段の上部には懐かしい『サマトラケのニケ』を見て、又、ルーブルにやって来たなあと感じました。どこの展示場も観光客で混んでいましたが『民衆を率いる自由の女神』や『ナポレオン戴冠式』の大きな絵の前には人込みの山で写真を撮るのも一苦労でした。『モナリザ』は以前見学したときは他の展示画と並列だったと記憶していましたが、今はモナリザが一点のみで展示され、それも3m四方にロープが張ってあり、それ以上は近づけない人気の高さでした。ミロのビーナスも同様でしたが、何枚も写真を撮ることが出来ました。今回の訪問であいまいだった記憶がすっかり戻り、より印象深い鑑賞になりました。
翌日、次の訪問地モン・サン・ミッシェルの指定券購入を終えて、オルセー美術館へ行くべく若い男女に聞くと地下鉄で行くよう教えてもらい下車後5分程歩き、30年前に訪れた懐かしいオルセー美術館へ到着しました。
ここもルーブル同様、入館するのに40分位並んで入館しました。元々駅舎を改造した美術館なので他の美術館より作品は少ないですが、作品の質は素晴らしく、ゴッホ、ルノアール、セザンヌ、ゴーギャン、ミロ、モネ等の作品を数々鑑賞出来ました。その中でもミレーの『晩鐘』や『落穂拾い』は印象に残りました。
(憧れのモン・サン・ミッシェルで3日間)
モンパルナス駅を8時54分発の特急列車で3.4時間かけてモンサンミッシェル駅に到着し、ルートを検索中にバスが出てしまい、女性駅員に聞くと次のバスは2時間後でモンサンミッシェルまでは一本道とのこと、ここで『歩く会魂』が湧いてきて、重いスーツケースを引き、ザックを背負い、ショルダーバッグを肩にかけ、7㎞、1時間を歩き始めました。快晴で空は抜けるように青く、道路脇には濃い紫色のアイリスが咲き、途中の牧場では馬が草を食んでいました。
40分程歩いた時、白い車が止まり『頑張っているね。モンサンミッチェルまであともう少しだけれど車で送ってあげるよ』と中年フランス人からの優しい言葉、もちろん、喜んで同乗させて頂きました。数年前に中二だった孫との山陰旅行で大山まで歩いている途中で同じケースにあったのを思い出しました。
ホテル到着後、前方に見えるモンサンミッシェルを目指して長い木道を歩き、修道院の長い階段を登り、中世の面影が残るテラスに出た時の海からの抜けるような風に吹かれたのは忘れられません。本当に来たかいがありました。
中庭のテラスに腰を掛けていると気持ちの良い風に誘われスゥ―と睡魔が襲い、しばしの午睡で贅沢な時間を過ごす事が出来ました。
翌朝、ホテルと土手を隔てた川の近くを散歩しました。土手に上ると、昨日歩いたモンサンミッシェルははるか前方にあり、川面に映る『逆さモン・サン・ミッシェル』をカメラに収めることが出来ました。その後、ゆっくりとモンサンミッチェルまで歩きました。そして三日間、モンサンミッシェル修道院を三度も訪れる贅沢な時間でした。
KK
(以下、次回に続く)