書を学んでいる中国人の友人がいます。漢詩の書は繁体字で書きたいと言って、お茶の話とか鍼灸医学の話とかいろいろ教えてくれる際、繁体字を使って説明してくれます。先日「礼記(らいき)・学記」の話をしてくれました。
「礼記」は中国戦国時代の思想書で五経の一つ、主に古代の「礼」について集録されているそうです。民衆を教化化育し、人として成すためには、一般庶民・百姓にもある程度の教育は不可欠と主張し、教学を最優先の課題をすべきと説いているそうです。ここでの教学とは細々とした智識ではなく、社会人として立っていく基本的な教養や心構えをさしているそうです。
玉不琢、不成噐;人不學、不知道。
是故古之王者、建國君民教學為先。
(玉磨かざれば器をなさず、人学ばざれば道を知らず。
故に古の王者は国を」たて、民に君たるには、教学を先となせり。)
玉は磨かなければ立派な器にならない。人も学ばなければ道を知ることができない。素材がよくてもそのままでは何ともならず、手塩にかけて鍛錬することで、素晴らしいものが出来上がる。それは物も人も同じである。それゆえに古の王者は国を建て君主となったら、民に教学を施すこと一番先とする。 ― 慣用句 「玉磨かざれば光なし」でご存じの句です。―
そのうちに素晴らしい漢詩の書をいただけるかもしれません。まだ見せていただいたことはありますが、残念ならが……。表装して額に収め、我が家に飾れば、日々古の礼儀正しい香りを身にまとい、過ごせるような気がしてきます。
(S.M)