6月になっても、ぐるりっとの教室は静かです。
毎年4月は、進級、進学をきっかけに、ぐるりっとを離れる生徒が多く、
寂しい教室風景になるのですが、じきににぎやかになります。
これほど静かなのは珍しいですね。
そんななか、中学一年生になったAさんが、再びぐるりっとで日本語学習を
始めるというので喜んでいましたが、結局立ち消えに。
残念ですが、Aさんが忙しく充実した毎日を送っているなら、
それはそれで嬉しいことです。
3月までのAさんは、学習したことがなかなか定着しない生徒でした。
大人の都合で日本に連れてこられただけで、本人の心がここにないのは明らか。
日本語の勉強に身がはいらないはずだわ、と思ったものです。
それでも、日本にいる以上、最低限の日本語は必要ですし、
なにより日本語を知って欲しいと思いました。
なぜなら、Aさんは、母語でなら、とても素敵な文章を書く能力を持っていることを
知ったからです。
あるとき、「学校」「郵便局」「公園」など場所の名称を勉強しました。
「公園」は、とても覚えにくそうで、Aさんの生活につながらないからかと
考えたりしました。
試しに「本や」「パンや」「花や」を導入しました。
「○○や」の「や」が店で、「○○」がその店で売っているものだと、すぐに理解し、
覚えました。
ところで、私は今、あまり電車を使わない生活をしています。
ですから、かつてよく利用した駅に行くことはまれですし、駅に続く商店街も
めったに歩かないのですが、先日、久しぶりに通ったら、長年営業していた肉屋が
閉店していました。
その前には、豆腐屋と自転車屋が、そのずっと前には、本屋が閉店。
「○○や」の法則に当てはまる店が、次々に消えてしまいました。
(ecu)