毎年一緒に旅行しているタイ在住の友人夫婦と、バンコックからディーゼル急行寝台
列車でチェンマイまでの12時間と1週間の旅を楽しんだ。
飛行機で行けば2時間足らずだがあえて夜行寝台列車の旅を選んでみた。かまぼこ型
の大きなバンコック中央駅はプラットホームが何列もあるタイ最大のターミナル駅だ。
午後7時30分に定刻通りに出発した寝台急行列車は未だベッドメイクされていない
ゆったりとした一人専用対面シートで、周りの席は海外からの旅行者が多く国際色が
豊富だった。
腹もすき、食堂車で私にとって初めてのチェンマイ、チェンライ、タイ・ミャンマー
国境の町メイサイ迄の旅行スケジュールをわくわくしながら友人夫婦と話していると
隣のテーブルの夫婦が笑顔で話しかけてきた。二人はマダガスカル島近くのフランス
領レユニオン島からの旅行者で、筆談と片言の英語で楽しい時間を過ごすことが出来、
また、タイ料理の程好い辛さとビールのど越しがたまらなかった。
席に戻ると、対面に途中駅から乗車した黄色の僧衣を纏った僧侶が座っていた。旅行
で僧侶と一緒とは何か良い事があるかなと思いつつ、車掌の手際よいベッドメイキン
グを眺め、ベッドで缶ビールを干してから気持ちよく睡眠できた。
いつもの癖で朝5時に目が覚めたが車窓は真っ暗闇、時折、窓越しに明かりがポツン、
ポツンと見えるだけ、後は漆黒の中をディーゼル機関車はひたすらチェンマイへ走る。
7時ぐらいから明るくなり、車窓から森林や付近の山々が見渡せるようになった。
8時過ぎにチーク材で彫られた大きなチェンマイ銘看板のあるチェンマイ駅に到着。
車中で知り合ったレユニオン島からの夫婦とハグしお互い ”Have a nice trip!” と言い交
し別れた。
駅からホテルまでピックアップトラックを改造した乗合小型バスに同乗したキュート
なイギリス人学生二人と話が弾んだ。彼女達は4ヶ月間の夏休みに50日をかけて東南
アジア全域をバックパッキング旅行中、卒業後は教師になると目を輝かしていた。
4ヶ月間の夏休みは目的意識を持てばろいろ経験出来るし、日本にはない長期間の
夏休み制度は羨ましい限りだ。この時期、欧米からのバックパッカーが多いのも合点
がいった。
旅には思いがけない出会いがあり、より旅を印象深いものにしてくれる。有難い限り。
『寝台急行食堂車で、はいチーズ!』
(kk/)