先月、出身大学の同窓会が企画したアーサー・ビナードさん [アメリカのミシガン州出身、1990年に来日して以来、日本語を駆使した詩作、翻訳他著書多数] の講演会に行って来ました。詩人であり日本語の達人であるビナードさんの日本語=言葉に対する情熱が伝わってくる、熱く刺激的(時に過激)な、それでいてユーモアに富んだ楽しい講演会でした。
日本語・・・外国の人が学んで使いこなすには、何とハードルの高い言葉でしょう。文字が3種類も(漢字は気が遠くなるほど)あるし、日常会話なら何とかなっても、ぐるりっとに通ってくる子どもたちのように、教科学習が課せられるとなるとどれほどの努力が必要になるか・・・。
ビナードさんはそんなハードルを軽々とこえて、「達人」と言われています。翻訳は創作だと考えて、詩を翻訳するときは、「ダンスをするように呼吸を合わせてステップの練習を重ねていくうちに、言葉はパートナーの‘僕‘を離れて自分のダンスを繰り広げだす」と表現しています。訳者の感性、豊富な語彙、言葉に対する真摯さが問われるところでしょう。元々能力があったとしても、そこまでの語学力を獲得するのに、どれほど努力したことか 想像に難くありません。
ビナードさんに学ぶもう一つのことは、日本人自身が真剣に取り組まなければならないはずの問題=環境、原発、憲法等々=に対しても、鋭い観察力と独特の視点・問題意識をもって積極的に発信しているところです。私も日々起こっている出来事をしっかり受け止め、自分の頭で考えて判断し行動したいものだと思います。
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