日本語教師の勉強に励んでいた頃から月日が流れ、忘れていることが多いだろうと思い、
巣ごもり生活中の暇つぶしに、養成講座で使ったプリントやノート、検定試験の対策本、
今はない日本語関係の雑誌をペラペラめくってみました。
どれだけ時間が余っていたんだという感じですね。ハハ。
さて、すると案の定、覚えていないことだらけでした。
でも、そんな有様でも教えることはできるし、逆に授業を通して学ぶこともあるものです。
とはいえ、幅広い知見や理論に触れた経験が、目立たず自分を支えていると感じます。
思えば、学校の勉強も似たようなものです。たとえば、高校の数学。
高校の数学で習ったことを利用したことなんて、私の人生の中でただの一度もありません。
けれど、何かを理解しようとするとき、数学の知識が理解の助けになったことが
あるような、ないような。
・・・と、なんとも心許ない話ですが。
以前担当した受験生。模擬試験の結果が思わしくなくて自信をなくし、
高校に行かないで、働こうかな、と言い出しました。
高校の勉強を使いますか、と聞かれもしました。
そうだよねえ。使わないよねえ、と心の声が答えます。
内心同意したものの、一時の気の迷いで言い出したにちがいない相手に賛成するわけにいかず、
高校を卒業していないと仕事がない。専門学校にも行けない。
などと、陳腐な言葉を並べました。
本当に伝えたかったことは、15歳かそこらで自分の可能性を諦めないで欲しいということ。
学んだことを使っても使わなくても、高校生活そのものが、その人の世界を広げてくれる
はずだから。
その後、その生徒は、本人の努力もあり、急速に日本語力をつけ、学業成績も上昇。
それだけに欲も出て、あと一年早く日本に来ていたら、もう少し準備期間があったら、
もっと高いところを目指せたかも、など想うところは多々あったようですが、
将来就きたい仕事に役立つ科目が学べる高校に、納得して進学しました。
今頃は、大学進学を目標に頑張っているのではないでしょうか。
少なくとも、私の数学よりは実生活に有益な学びをしていそうな感じがします。
(ecu)