コロナ緊急事態宣言が解除され、ようやく感染者数も減少してきたのに合わしたかの様に中2の孫と計画していた8泊9日の山陰・姫路・奈良・京都・大阪旅行へ出かけることが出来た。
始めに我が家のルーツ山陰を孫に見せたくて岡山から伯備線で出雲市へ向かい、翌朝、落着いた 佇まいの出雲大社で家内安全と旅の安全を祈願した後、海岸沿いの切り立った岩伝いの細い道路を バスは安全運転で日御碕に到着。トンビがひゅるる、ひゅるると鳴いている天空を眺めつつ生憎の強風雨の中、日本一の高さを誇る灯台を目指し歩みを進めた。孫はお猪口になりそうな傘をすぼめながら岸壁に押し寄せる波しぶきと真っ青な日本海に見入っていた。
小雨降る朝、タクシー運転手は『これが国宝松江城ですけん』と松江弁で案内してくれた。松江城は思ったより小ぶりだったが黒日かった城内は落ち着き歴史の重みを感じさせた。
安来駅より稲刈りの終った田圃道を通り日本一の日本庭園と称される足立美術館を訪れた。北大路廬山人や横山大観の作品も素晴らしかったが大ガラス戸越しの広大な日本庭園には圧倒された。後で毎朝、庭師たちが剪定しその美しさを保っていると説明を受けたが、庭園の静寂さと美しさに孫共々見入ってしまい、時間の経つのをすっかり忘れてしまった。
山陰随一標高1,709mの伯耆大山を50年ぶりに登山した。大山口からバス出発時間帯が合わず、孫の『大仙寺迄歩こう』の一言で人の気配を全く感じない道路をひたすら大山を目指し歩き始めた。雲一つない青空と道路の両脇は稲刈りの終った田圃と赤とんぼの群れ、前方には紅葉の大山を眺めつウォークで一時間程たった頃、そろそろバスがやってくるかなと思いバス停を探しながら歩いたが一向に見つからず、道路わきで停車していた車にバス停を聞いた所、逆にどこまで行くのかと尋ねられ大山寺と答えると私たちも同じなのでと同乗させてくれた。 車は紅葉した山道を快適に走り大山寺入り口に到着、運転者にお礼を述べて石畳の参道を進み、急な石段を息を切らせながら上りヒンヤリとした空気の漂う大山寺へ参拝し大山登山道へ入った。
大山山頂までの登山道は丸太でしっかりと整備されており50年前の昔から比べれば歩きやすくなっていたが、齢70越えの私にとってこの急勾配の山道は4~5歩歩いては一息の連続となったが
14歳の孫は快適に上り、登山道の端々で私を待っていてくれた。
五合目を過ぎて視界が開けてすっかり紅葉した山稜や日本海が広がるパノラマを満喫出来た。山頂は摂氏4℃の冬世界。持参したおにぎりをほおばりながら寒さをしのぎ下山した。翌日、初冠雪の情報があり、私たちはラッキー登山だったんだと痛感した。
鳥取砂丘を見た後、鳥取から智頭急行経由で姫路へ、友人案内で書寫山ウォーク、姫路城を見学して去りゆく秋を楽しんだ。孫は世界遺産の姫路城の美しさと大きさに驚いた様子だった。
現役時代出張で良く訪れ土地勘のある大阪を起点に奈良・京都・大阪を堪能した。奈良で少年のあどけなさを残す阿修羅像、国立博物館特別展示の運慶快慶作の巨大な仁王像、東大寺の大仏、京都嵐山郊外の高山寺で鳥獣戯画をゆっくり見学出来た。最終日朝、ジョッガー達が走る大阪城公園から大阪城天守閣まで登り眼下の大阪に見入った後、旅の思い出に浸りながら新幹線で帰京した。
(㏍)