ぐるりっとでは、主に中学生の学習では「語学留学生のための日本語(略して「語留」)」というテキストを使っています。
2002年に発売された物ですが、現在問題集が絶版となっているようで、教室の在庫も残りわずか。
長年親しんだテキストではあるものの、これを機会に新しい教材についても調べてみようと、何種類かのテキストを見比べて、より良い教科書はないかという検討が始まっています。
さて、この「語留」の問題集には課ごとに読み物があるのですが、その中の1つに「てんきよほう」という題目があります。
天気予報はどうやって始まったのか。どんな人が天気の情報を欲しがっているのか。既習の文法をベースに書いてあるのですが、ただ単語を抜粋するだけでは解答が難しい質問を投げかけることもできる、個人的に好きな読み物でした。
今回、久しぶりにこの読み物を扱う授業となったのですが、最後の段落の文章がふと目に留まりました。
『お天気じょうほうは だんだん くわしくなって、りようする人が ふえています。「渋谷駅近くでは 午後4時から 7時ごろの あいだに 雨が ふります。」こんなじょうほうは だれでも ほしく なると 思いませんか。』
あれ、この情報は、今は普通にあるなぁ。
大手の気象予報サービスが、「5分天気予報」「10分天気予報」というものを提供をしています。自分がいるエリアを入力すると、5分ごと、10分ごとの天気予想をグラフで表示してくれるのです。
また、利用者からの情報提供なども組み込むことで精度を上げているのだとか。
サービス自体は有料で10年くらい前から存在していたものが、コロナ禍で無料になり、たくさんの人が使えるようになったそうです。
元々天気予報はざっくり把握していればOKだった私がこのサービスを知ったのも、ここ最近の話でした。
今までは一部の人向けであった物が周知され広く使われる様になると、私たちは無意識にそれを受け入れて、以前の当たり前は、いつの間にか大きく変わっていきます。
以前はこうだった…と思うのは珍しいことではありません。
しかし、その感覚を教科書を通して瞬間的に体験すると、何だか一気に時代を飛び越えた様な、不思議な感覚になりました。
古い教材が悪い、新しい教材が良いということは一概には言えません。
学習者もその変化の過程を知っていれば、共有しながら読み進める事ができるし、話題も生まれます。
しかし、その過程を知らない子どもが学習者だったらどうでしょう。
そう思うと、常に教材や情報を更新していきながら、使える物とそうでないものを選んでいく必要性を感じます。
ちなみに、この読み者を一緒に読んだ子の感想。
「天気予報は見みません。カバンにいつも携帯傘があるから大丈夫」
この答えは、毎回の様に聞いてきた気がします。
中学生は天気予報を見ない。(ぐるりっとに来る子の傾向として、ですが。)
今も昔もこれからも、これは案外変わらないかもしれません。
(N)