平仮名でさえしっかり読めない初級の学生であっても、自己紹介は会話表現練習として早い段階で導入します。
日本語の音で出す名前は母語と響きが違ってしまうこともありますが、それも日本語での名前と受け入れてもらい練習していきます。
日本に住む人々は外見が似た人種がほとんどなので、他の国から来た方なのかな?と思われると「ナニジン?」と抱かれることが多い様で、自己紹介の例文の中には「アメリカ人です」「ベトナム人です」といった様に国籍を披露するものが含まれることがよくあります。
以前、生徒からこんな質問を受けました。
名前を言い「よろしくお願いします」と自己紹介すると、日本人から「どこからきましたか」と尋ねられたそうです。
彼はどうしてそんなことを尋ねるんだろう?と思いつつも「家からです」と答えたら、
「いや、国です。どこの国から来たんですか」と言われたことであったそうです。
どこからきましたか。家からです。
確かに家が出発地点なら正解ですね。
日本語には直訳すれば別の意味に繋がってしまう言い回しがたくさんあります。
また、敢えて直接的な表現を避ける言い回しをマナーとする慣習もあります。
それらは日本語上級者でも悩みのタネとなるのをよく聞きます。
自己紹介でどこから来たか尋ねられたら出身国であること。
生徒へは、状況や文脈から話し相手のいわんとする意図は何かを考える必要性を示していきます。
初級授業での一例ですが、国旗カードを持ちながら教師は「私は日本から来ました」と話し、生徒にも出身国の国旗カードを持たせます。
共通言語がない場合は、目で見て明らかに分かるものを使いながら生徒に察してもらいます。
そして、学びながら繰り返しながら言葉の意味や文法を正しく理解してもらい、横展開させつつ様々な状況にも対応できる日本語力をつけていきます。
(E.F)