激しく変化し続ける今の世に生きて私は目が回りそうですが、めまぐるしい中、却って長い歴史の中に生きていることを感じたりします。たとえば、鎌倉時代を生きた人の血が、巡り巡って私の中にも流れているんだなあ、などと、はるか遠くを見るような気持ちになったりします。
言葉も長い長い時間語られ、書かれ、そして変わり続けてきました。昔、言葉はどのように発音されていたのか、どのような意味(ニュアンス)で使われていたのか、本当のところはもう分かりません。文法も違いますし、同じ言葉でも今とは違う使い方だったものもあります。
おや?でも文字は同じようなものを長く使い続けていますね。ハングルのように比較的新しい文字もありますが、世界で膨大に使われてきた文字は、あまり変わっていない気がします。
文字は記号ですから、多くの人が一定のルールに従って使うことで役に立ちます。言葉は変わり続け、新しい言葉はどんどん作られますが、文字まで新しくどんどん作っては効率が悪いのでしょうね。
すると、文字はこれからも長く付き合う相手。生徒にはこんな屁理屈を説くことは出来ませんが、親しみを感じるくらい文字をしっかり覚えてほしいなあと思います。
ひらがなを学習中のL君は、「す」の、くるりと巻く部分が左だったか右だったか迷います。ひらがなには他にも「な、ま、む、よ、る」など、くるりと巻く部分がある字がたくさんあります。そういえばこれらはすべて時計回りですね。一回転せず包むような形の「あ、う、ち、つ、の、め、ら、ろ、わ」などもすべて時計回り。逆回りは「し、せ、そ、て、と、ひ、も」など少ないです。
数字は0(ゼロ)、6、9などは逆回り。(9を「の」の字のように書く人もいますが。)
英語アルファベット小文字はa、c、d、e、g、o、q(筆記体はb、lも)…逆回りが断然多いですね。ひらがなの「くるり」の部分を書きにくそうにしている生徒が時々いるのは、こんなところに理由があるのかもしれない、と思いました。この「くるり」の部分が上手く書けるようになると、ひらがなを気持ちよく書けるのではないかしら。是非習得してほしいです。
(SI)