私たちが指導する生徒たちは、母語以外の言葉として日本語を習得するためにやってきます。
外国語の語彙を学ぶには、かねてよりフレーズで覚えること、使う場面を理解することが基本姿勢とされてきました。
しかし、それだけでは使える様にはならず、定着にはアウトプットが大切と言われています。
生徒たちは日本の学校へ通う事前準備として「ぐるりっと」へやってくるわけですから、教室以外は多くが母語のみの生活でありアウトプットの場が充分とは言い難い状況です。
一方で語彙をいくら覚えても、フレーズで覚えても、アウトプットはなかなか難しいものです。
日本の学校教育で英語を学んでも話せない人が多いのは同じ理由です。
言語を学んだのに話せない、そうしたことに思い当たる方は多いのではないでしょうか。
私達はその手立てとして、語彙やフレーズを絵本や写真など描写された場面等を見ながら話す学習を取り入れています。
テレビでもいい、アニメでもいい、何でもいいのですが、視覚とセットで語彙やフレーズを使う機会を作ります。
この効果は、例えばフラッシュカードを見て「みかん」と覚えるより、スーパーや散歩中の庭先で見つけた時に「みかん」と口ずさむ、美味しい、酸っぱい、甘いと言ってみる、そうした事を想像して頂ければと思います。
また大好きなアニメのキャラクターが食べていてもいいでしょう。
記憶を刺激していくこととは、多方からのアプローチによってそのものとの場面や思い出を増やす事です。
それが定着に繋がります。
また、こうした作業は家族と日本語を話さなくても、生徒自身の心掛けで進めていける学びです。
理解した語彙やフレーズ、その状況を視覚で捉えながら繰り返し言葉にして発する作業ができる様になれば、バリエーションのある表現へ少しずつ進める様になります。
(E.F)