発祥の地でもないのに、漢字を手放さずに使い続けているのは日本だけ。
そのせいで、学校生活を通じて数千もの漢字を覚えなければなりませんが、
そのおかげで中国語ができなくても、書かれたものを見ると、なんとなく意味がわかります。
それは、漢字が表意文字だからで、漢字を日本語読みしても通じないことは
今さら言うまでもありません。
あちらの指導者を、日本では「シュウキンペイ」と言いますが、日本語の読みを
当てただけなので、中国の人に「シュウさん」と言っても変な顔をされるでしょう。
ときどき「シーチンピン」とルビが振ってあるのを見かけます。
これも現地音と完全に一致するわけではないでしょうが、まだましでしょうか。
この辺の事情は、彼の地でも同様のようで、
国際会議に出席した中国人高官。欧米人が「Junichiro Koizumi」と呼んでいるのを聞いても
それが誰のことかわからなかったために、あいつは日本の首相の名前も知らないバカなのか
と笑われた。本当は高学歴の優秀な人物だったにもかかわらず。
といった内容の記事を読んだことがあります。
中国人生徒に、絵と文字を組み合わせる課題をさせたとき、その生徒から
「全部ひらがなですかぁ~」と不満そうに言われました。
しめしめ、狙いどおり。
「そうですよ。だって漢字を見たらわかっちゃうでしょ。日本語を覚えないでしょ」
漢字という共通語があるので、教科学習の面でも、中国人生徒は他の国の生徒に比べて
有利だと言われます。
でも、それは文字を使って勉強するときの話。授業は音声も使うのが普通ですから
先生が話す内容が理解できないと困ります。
勉強熱心で一見よくできる生徒が、ごく簡単な日本語の読み(言い方)を知らなかった
という場に出くわしたことがあります。
文字に頼り、漢字を中国語読みしているのが原因だと考えられます。
告白すると、相手が中国人生徒(特に年長者)の場合、理解促進、時間節約の面から、
正直漢字を利用することがあります。
けれど、それだけではダメ。教える方が楽をしてはいけない、と自戒した次第です。
(ecu)