神宮外苑の再開発については、亡き坂本龍一さんが今年2月に小池知事に送った手紙が記憶に新しいところですが、ここにきて村上春樹さん、加藤登紀子さん等著名人が声をあげていることが(一部の)新聞に載っていました。
そもそも何のための、誰のための開発なのか? そのために東京オリンピックが誘致されたとまでいわれるほどの怪しい事業のように見えてきます。
明治神宮の森は、100年後も人の手をほとんどかけず、自然の力によって再生し永続する森を目指して、当時の林学者や造園家たちが英知を結集して作りあげた人工林の最高傑作の一つとされています。
神宮外苑は、内宮とは別に国民の寄付によって整備された日本初の風致地区として守られてきましたが、オリンピックを契機に規制が緩和され開発が可能になりました。
公園も「都市計画公園」からはずされて高層ビルが建てられ、歴史的遺産ともいえる銀杏並木は西側に野球場が作られるために致命的なダメージを受けることは必至であるという状況です。
開発に異を唱える作家の山田詠美さんの「人には、木漏れ日を必要とする人と、そうでない人がいる。木漏れ日を必要としない人たちに、なぜ木漏れ日が必要かっていうことをいくら説明してもわからないと思うんですよ。」という言葉にうなだれるしかないのか?と暗澹たる気分になります。
100年を越えて営まれてきた奇跡のような素敵な環境をいともたやすく壊すことが今何故必要なのか? それをあえて行おうとする“木漏れ日を必要としない”人々、それに異議を唱えない人々に、改めて問いたいと思います。
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