去年の11月末 ぐるりっとの卒業生Sさんから「美容師になりたいので、もう一度高校に入学して勉強したい」と電話がありました。彼女は六年前ネパールから弟と来日(両親は十五年前)し、父親に連れられてぐるりっとに来室。弟N君は子供教室で半年間日本語を学習、姉Sさんはネパールでハイスクール(二年)を卒業してすでに父親のカレー店を手伝っていたので、ここで二か月位日本語を学習し私は二人とも担当していました。
Sさんは定時制高校1年に入学(ネパールのハイスクール卒は認められず)、N君は3月に中学1年に転入(小学6年転入を勧めたのですが)。頑張って学習していたようですが、10月頃から二人とも学校を休みがちになり、Sさんはアルバイトに専念し、日本の生活を楽しんでいたようです。N君は半年後中学夜間学級に編入し、やっと学校生活を楽しむことが出来るようになったようです。現在は定時制高校4年と再チャレンジに成功、来年は専門学校で勉強したいと言っているそうです。
Sさん一家は当時大森に住んでいたのですが、現在は横浜在住。彼女の自宅近くの神奈川県立定時制高校を選び、二人で学校見学、東庁舎(神奈川県)にネパールの卒業証書提出、志望校への入学願書提出など大変でしたが頑張りました。(彼女は英語が得意で、日本語を話すことは出来るのですが、漢字が殆ど読めないので進学手続きには助けが必要でした。)入試日は2月14日8:30~12:00(英、数、国)、15日(面接)。 学校側の説明で昨年は70人募集で75人受験、今年も全員合格できるかどうかわからないと指導を受け、喫茶店で数学の勉強(過去問)と面接の練習をしました。
幸い合格発表日Sさんから「先生、合格したよ」と喜びにに満ち溢れた声で電話、「おめでとう、がんばったね」 ほっとしました。
合格者説明会、入学式にも参列しました(両親が仕事で出席出来ないとのこと)。
Sさんが入学した定時制高校は単位制普通科高校で「フレキシブルスクール」と呼ばれています。その理由は全日制と定時制課程が一体となった教育活動が展開されているからだそうです。入学式は合同で行われ、全日制(30名x8クラス)定時制(15名×4クラス)の生徒の氏名が担任から呼び上げられていました。学校長の祝辞は「全国に二校しかない柔軟な学びのスタイルを持つフレキシブルスクールで学ぶということは、様々な学び方の中から自分の学び方を選択することが出来、自分の生き方を見つける旅のスタートを切ってください」でした。
式から一週間後「先生、今日は午後一時から授業が始まり夜九時まであったので疲れた、でも友達も出来楽しかったよ」と明るい弾んだ声で電話がありました。時間割は一年次では3校時(13:20~14:50) 4校時(15:05~16:35)中休み(1時間) 5校時(17:30~19:00)6校時(19:20~20:50)、1校時90分授業(間で10分休み)中休みは友達とコンビニや売店で食べたいものを買い、おしゃべりしながら過ごせる一番楽し
い時間のようです。二・三年次では登校したら自ら履修講座の教室に向かい授業を受けます。各自の進路や興味・関心に応じてどの教科をどのような順番で履修するか自分で考え全日制の授業も受けることが出来るようです。定時制課程の修業年限は3年または4年で、一年次の単位を全部習得できると、二・三年次は好きな教科を午前、午後、夜間のどの時間でも選択修得できるので、本人が頑張れば三年で卒業可能なシステムになっているようです。
昨夜も「元気?」と電話すると「テストがあり英語は95点数学は88点だったよ。でも漢字が読めないので、理科・社会・国語の授業は難しくて、興味が持てない」と弱音を吐いていました。「漢字の勉強頑張ってね、そうしないと美容専門学校に入れないよ」と励すと「うん、頑張る。七月初めには社会・理科のテストもあるから」と言ってくれました。「夏休みはいつから?今度N君と三人で食事しようね」「はい、7月末から」 二人ともアルバイトもしているので忙しそうです。、一度は挫折しましたが、現在は目標に向かって頑張っています。頑張れSさん、N君!
(K・S)