大田区の国際交流会館[山王会館]は小高い南向きの斜面に立っていて、「日本語ぐるりっと」の教室がある303号室の大きな窓からは大森の街を見渡すことができます。大森駅のすぐ東側には大森貝塚がありますから、すぐそこまで海だったのでしょう。池上通りを縄文時代の人達も歩いていたのでしょうか。江戸時代になると海苔の養殖が始まり、浅瀬には養殖の柵が並んで浮世絵どおりの風景だったにちがいありません。今 海は遠くなってしまいましたが、授業の合間に昔と変わらない青い空や夕日や羽田空港に離着陸する飛行機を眺めるのもいいものです。
大森の長~い歴史を感じながら私が山王会館に通うようになって20余年。創設以来、ぐるりっとの授業は学校からの取り出しが主ですが、夏休みに来日中の子供達や、インターナショナルスクールに通っている子供 残留孤児の孫世代に日本語を教えることもありました。 今は「日本語ぐるりっと」としての授業の他に、「おおたこども日本語教室」という大田区立の小中学校に就学する前の子供に日本語支援をする委託事業に参加しています。生徒の増加に伴い、新しい先生方も参加してくださっていてこれまでにない活気があります。
私たちは教える事の他に、取り出しが許可されて来ている生徒の学校には日々の学習の記録を月毎に提出しています。「こども教室」が始まった8年程前からは区に提出する出欠簿や学習報告書があり、いずれも決まった仕様に丁寧に記入します。またこれらは生徒の個人情報にかかわることでありその管理には注意を払わねばなりません。最近は項目を分けてPC内でも見つけやすいように整理されており、私は暗証番号をポチポチと押して開いて記入します。私の頭の機能は古くてPCを使いこなすことはできませんがなんとか迷惑をかけぬよう頑張っている次第です。
時代に合ったアップデートはぐるりっとにも必須で、若手の先生方はそれぞれ出来ることを分担してテキパキと具体化してくれて、その行動力には目を見張るものがあります。
入室希望者との面接の時の確認事項や会計さんの仕事をいかに軽減するか等々知恵を出し合いました。教室内の意見はオンライン上に投書できる場をつくり、限られたミーティングの時間を有効に使えるよう工夫してくれました。生徒や対外的な連絡のための法人専用携帯電話も作りましたが、うまく機能させられるかどうか…等々これからも取り組む課題はいっぱいです。
私はうまくいかないところはまたその時々に柔軟に対処していければいいと思っています。昔にくらべのんびりさはなくなりましたが、先生方にとって爽やかな活動しやすい教室であってほしと願っています。
「ボランティア」という活動の中で、日本語教育の支援を必要とする子供達への情熱は変わりませんが、時代の流れを鑑みて教え方にも業務の在り方にも改善していく必要があるでしょう。ぐるりっとは只今アップデート中です。
(ET)