1998年、品川区の国際交流ボランティア団体で知り合ったメンバー8人で、日本語を母語としない子どものために日本語支援を行う団体‘日本語ぐるりっと’を立ち上げました。“ぐるりっと”という一風変わったネーミングは、子どもを取り巻く環境全体を視野に入れ、家庭、学校、行政、地域を巻き込んで連携・協力しながら支援したいという想いからでした。当時はまだ、外国につながる子どもへの支援に対する理解が希薄で、日本語指導のための子ども向け教材も限られていました。文部科学省が出した「にほんごをまなぼう」がありましたが、使い方が難しかったため、副教材を作ろうということになり、『学校生活にほんごワークブック』を作成、出版(1999年)したことが出発でした。
その後は、教材研究や勉強会をしながら、2002年に大田区立山王会館で教室を始めました。生徒一人から始まった教室ですが、現在では、学校からの「取り出し」の形で行っている「ぐるりっと教室」の他に、大田区(国際都市おおた協会)の事業「おおたこども日本語教室」(学校に在籍する前の「プレ支援」:これにより日本語がゼロの状態で学校に入るという問題はクリアできました。)も受託して行っています。
学校に在籍してからは、「日本等語特別指導」(教育委員会が委託している派遣会社からの派遣講師による指導)がありますが、教科学習に取り組めるようになるには不十分なため、学校の理解を得て「取り出し」の形で通ってくる「ぐるりっと教室」は日本語ぐるりっとの原点でもあります。
子どもがひとり立ちするための基礎となる日本語の支援を子ども一人一人に応じた「オーダーメイド」で 学校、行政(多文化共生部局)と連携して、一貫して行っていくことが理想です。子どもの“教育を受ける権利”を守り、ボランティアだからこそできる一人一人に寄り添った柔軟な支援を目指す会でありたいと思っています。
(♍)